こんにちは きたうら歯科クリニック院長の北浦です。
現在歯周病の勉強会に参加していますが、歯周病医の中では非常に有名な
『Natural history of periodontal disease in man』という文献があります。
どんな内容かというと、歯を磨く習慣のない、スリランカの紅茶農園の労働者480人(タミール人)を15年間もの間定期的に検査し、歯周病の進行具合や歯牙の喪失などが、どのように起こるかを観察した文献です。
簡単にいうと歯を磨かないと人の口の中はどうなってしまうのかを実験した今では恐らく倫理的にも行えない実験です。(この研究は1970年に始まりました。)
実験に参加した先生が言うには、彼らの口腔内は沈着物で覆われそれはそれは不潔で口臭もすごかった様です。
結果はどうなったでしょう?
答えは89%の人は歯周病に罹患し骨の吸収や、歯の喪失がありました、その中のでも8%の人は早期の発症がみられ40歳前後では平均20本歯を失ってしまう結果となりました、81%の人は緩やかに歯周病が進行して40歳で数本歯を失う事が解りました。
では残りの11%は?
歯周病がほとんど見られなかったのです!!歯を磨かなくてもですよ!!
実際に日々診療を行っていても、衛生状態が悪いのに骨吸収が少ない人は稀にいます、逆にすごく頑張っているのに歯周病が悪化してしまう患者様がいるのも事実です(hyper responder)特異的に臼歯や前歯に垂直性の骨破壊が見られ、歯を失わない為には緻密な衛生管理(メンテナンス含む)が必要となります。
人類の約9割は歯周病に罹患します、ただしほとんどの人はしっかりと予防すれば歯を失うリスクを軽減できます。日本国民の場合は8割は歯周病だと言われています、歯を失う4割は歯周病です。歯周病を予防し快適な生活を送る為に、定期検診はとても重要です。